NZワークビザに関するポリシー変更

永住権・ビザ関連
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今年4月に発表されたSkilled Migrant Category (SMC) に関する見直しの予定施策は、移住を考えているすべての人に大きな衝撃を与えました。

この変更によって、移住をプランを練り直したり、諦めた人もいるかもしれません。

詳しい内容は6月中に追って発表する予定とされていましたが、音沙汰がないままでした。

そこへきて、昨日7月27日にエッセンシャルスキルズワークビザについての変更の詳細が明らかにされました。

印象としては、あれ、思ったよりはゆるめになりましたね、という感じ。

前回の発表内容が非常に厳しく感じたので、その反動かもしれませんが。

ポリシー変更の背景

この変更は、あくまでも自国民であるニュージーランド人が仕事を優先的に得られるようにすることとニュージーランドの経済成長のために不可欠な、一時的な移民による労働力を確保できるようにすること、の2点ををうまく両立させる狙いとのこと。

4月の発表のあと、各所から様々な意見が出ましたが、特に移民を多く雇用する傾向にあるホスピタリティ業界(レストラン・ホテル・カフェ・小売店等)や、農場などのビジネスオーナーからは反対の声が多かったようです。

オークランドのトップレストランSidartとCassiaを経営するSid Sahrawatも、39人いるスタッフの中でニュージーランド生まれのスタッフはたった5名であり、スキルをもった優秀なニュージーランド人は海外に出ていく傾向にあり、確保するのが難しいと言っています。

参考記事:RNZ

こういった声を元に、具体的な変更が練り直されたと考えられます。

さて、では実際どう変わるのか、見ていきます。

主な変更点

  • スキルレベルを査定するための、報酬バンド(年収レベル)の導入
  • 低スキルのワークビザ保持者に対する、最長3年の制限期間の導入

※3年を経過した後にまた低スキルジョブでワークビザを申請する場合、12ヶ月間ニュージーランド国外で過ごさなければならない。

  • 低スキルワークビザ保持者のパートナーや子どもに対する、自力でのビザ取得の要求

※つまりこれまでワークビザ保持者のビザに付随して与えられていた、パートナーや子どもに対するオープンワークビザの廃止。ショートタームビジタービザは可。

移民局は、報酬(年収)額によってスキルレベルを分けることにより、資格やANZSCOにて定められている各職種のジョブタスクを補完することができると考えています。

この変更により、名ばかり管理職で実際の給料が伴っていない人は、低スキルとみなされます。ニュージーランド的には低スキルの人材は長期的には必要ないし、低スキルワーカーの家族まで面倒は見ていられないということですね。

名目上は、ワークビザ保持者のパートナーがオープンワークビザを与えられることにより、地元の人の職を奪う可能性をなくしたいとしています。

個人的には、昨年10月から決定された永住権申請者への英語能力の証明もそうですが、真っ当な変更だと思います。

そもそも、ワークビザ保持者はたいていその企業でしか働けないのに、パートナーはどこでも働けるという仕組みが、変だなと思っていました。

では、報酬バンド(年収レベル)による、スキルレベルの違いを見てみます。

スキルレベル(年収レベル)

  • 高スキルー職種を問わず、NZのフルタイム年収中央値の1.5倍を稼いでいるビザ保持者

(現在のところ年収73,299ドル)

  • 中スキルーANZSCO Level 1-3に分類される職種で、NZのフルタイム年収中央値の85パーセント以上を稼いでいるビザ保持者

(現在のところ年収41,538ドル)

  • 低スキルー中スキルで定められている年収以下しか稼いでいないビザ保持者

4月の発表の時点では、NZフルタイム年収中央値である48,859ドル以上を稼いでいない限りスキル部門での永住権申請は絶望的と思われていましたが、85パーセントと緩和されています。

希望のある数字ではないでしょうか。

高スキルに関してはいったい何パーセントの移民が該当するんだと疑問です。

気になるところ

低スキルのワークビザ保持者に対する、最長3年の制限期間の導入についてですが、既にニュージーランドにて低スキルレベルで働いている人に対して遡っては適用されません。

ポリシー変更が適用された後、次回の低スキルレベルワークビザ更新時から、最長3年間がスタートします。

私の周りでは私も含め、最近3年のワークビザがおりている人が多かったため、まさか既に開始しているのか・・・?!と疑っていたのですが、偶然だったようです。

また、既にニュージーランドにいる低スキルワークビザ保持者の家族についても、今すぐ出ていけというわけではなく、現ワークビザ保持者が法律的に問題なくビザを保持している間は、ニュージーランドに留まっていられるとのことです。

なので、これも現在のビザが終わり次第の問題ですね。ビザの期限がせまっている方にとってはかなり大きな問題だと思いますが・・・。

まとめ

今回の変更によりはっきりと年収によってスキルレベルが分かれ、現実的に永住権を取るためには、中レベルの職につくことが必須だということが明らかになりました。

無謀な数字ではないと思いますし、永住権を目指している人には今後の職探しを考える上で分かりやすい指標になったと思います。

こちらの変更は前回発表されたSkilled Migrant residence categoryの変更とともに、2017年8月28日から導入される予定です。