日本では、英語の資格といえば、TOEICが一番有名ですね。
大学の英語のクラス分け用にTOEICの受験が義務付けられているところもあれば、英語関係の求人でTOEIC700点以上、などと条件指定されている会社も多く、日本の社会に強く根付いています。
だから多くの人が英語の試験といえば当たり前にTOEICを受ける傾向にあると思います。
しかし、TOEICで高得点を取っている人は、本当に英語力が高いのか?というと、そんなことはないのです。
TOEICは、リスニング&リーディングで1試験、スピーキング&ライティングで1試験という形で、完全にこの2つは別の試験です。そのため、多くの受検者は1試験2科目のみしか勉強しません。
スピーキング&ライティング版のTOEICはそれほど認知されておらず、基本的にTOEICというと、リスニングとリーディングのみのテストのことを差しています。
つまりいくらTOEICで高得点を取ったとしても、いざ話すとなると全くダメな人だらけなのです。それでも英語力が高いといえるのでしょうか?いや、私なら恥ずかしくて言えない!
そこで、IELTSの出番です。
IELTS(アイエルツ)って何?
IELTSというテストをご存知でしょうか?
IELTSとは、The International English Language Testing Systemの略称で、英語圏で留学や仕事、移住をしたい人達の英語能力を測るために行われている試験です。
ほんの少しの単語を知っているレベルでそれ以外は全く英語を使えないノンユーザー(バンドスコア1)から、完璧に英語を理解し使いこなすエキスパートユーザー(バンドスコア9)まで、1~9(数字は0.5ずつ換算されるため、バンドスコア6.5なども有り)のバンドスコア換算で明確に熟練度を評価します。
受検者は、まず受検前に用途に応じ、アカデミックかジェネラルトレーニングのいずれかのテストを選ばなければなりません。
アカデミックは大学や専門学校留学などの高等教育や、専門技術者登録を申請したい人のためのテストであり、ジェネラルはオーストラリアやカナダ、イギリスなどへの移住や、中等教育、英語環境で働きたい人向けのテストです。
それでは、なぜIELTSが英語能力試験として優れているのか、検証していきます。
① 世界で認められている
日本では一部の海外留学を志す人や、海外移住を考えている人くらいにしか知られていないIELTS。
私もIELTSに出会ったのは、海外留学を検討して、学校を調べ始めたときでした。
それまで聞いたこともない名前の試験でしたが、学校を調べていると、どこもIELTSのスコアが入学条件として指定されている・・・。
そう、IELTSはカナダ、オーストラリア、イギリスなど英語圏の大学や専門学校の留学生に対する入学条件として使用されています。
世界での受検者数はTOEICが上回っているのですが、実はTOEICの受験者数のうち、3分の1以上を日本が占めているのです。
その理由は、おそらくTOEICを発案したのが日本だから。
TOEICは、実は日本がアメリカのテスト開発機関ETSに依頼し誕生した試験なのです。
対してIELTSは、ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュ・カウンシル、IDP Educationの共同運営であり、イギリスが母体の試験です。
日本での認知度、受検者数ともに非常に少ないですが、海外では移住や留学の条件として、認められているのです。
② バランスよく英語力が身につく
IELTSは、アカデミック・ジェネラルともに、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つの言語スキルを評価します。
TOEICのように2科目だけと絞られていないため、受検者は全ての科目を勉強しなければなりません。これによって、インプット(リスニング・リーディング)だけでなく、アウトプット(ライティング・スピーキング)の能力も必然的に鍛えることができます。
日本人にありがちな、TOEICの点数は高いのにいざ海外に出たら全然喋れないなんてことはなくなります。
③ ”本当に使われている英語”が身につく
TOEICは、リスニング問題もリーディング問題も、なんというか、”試験の英語”です。
例えばリスニングの最初の問題。
写真の内容を正しく説明している文を、A~Dの選択肢のうちから1つ選ぶというものですが、こんな場面、まず日常生活では起こらない。英語の授業中ならあるでしょうが。
IELTSの場合、リスニングの最初のパートから、日常生活に確実に起こり得る場面を想定した問題がでてきます。
例えば、旅行会社とのやり取りや、子どもの習い事のスケジュールの調整、ジムの入会手続きなど。ネイティブ同士による会話をリスニングし、いつ流れるか分からない答えを聞き逃さないよう自分で聞きながら頭で考えつつ見つける必要があります。そしてリスニングは一回しか流れません。
日常生活で役に立つ!
IELTSリスニングの勉強をするだけで、こんな日常の場面での対応力が身につきます。
④ 英語の「クセ」が身につく
どの言語にも、特有の癖というものがあります。
例えば日本語でいうと直接的な表現を避ける傾向にあるなどですが、なかなか第一言語でない人が癖を身につけるのは難しいものです。
IELTSのライティングタスク2では、英語で250文字以上の論文を書かなければなりません。また、ジェネラルトレーニングのタスク1では、手紙を書きます。
いずれも、日本語で考えてそれを英語に翻訳するイメージで文章を書いた場合、日本語の癖が出てしまい英語論文としてはヒドイ出来になってしまうでしょう。
IELTSを勉強すれば、たくさんのサンプルレポートや、英語論文の書き方を嫌でも見るようになります。
こうして、英語での手紙や論文の書き方の「癖」を必然的に学ぶことができます。
⑤ 本当の英語力がわかる
IELTSは完全に記述式のテストです。
TOEICのようにマークシート方式ではないため、時間がないから適当に塗りつぶすなんてことはできません。
また、単語のスペルも採点されるため、なんとなく覚えているレベルでは高スコアを取ることはできません。
リーディングでは、TOEICのように括弧にあてはまる単語を選べなどという易しい問題はでません。自分で文章を読解し、答えを導き出す必要があります。
ライティングの試験では、論文を書くため、文章の構成から幅広い語彙の使用、複雑な文法を使った長文の作成、単語のスペル、単語の使い方(違和感がないかなど)など、本当の英語能力が試されます。
⑥ みんなが本気の試験である
IELTSは、受検料がめちゃくちゃ高いです。なんと2万5千円を超えます。
OMG!
こんなに高いのに記念受検してみようなんて人は殆どいないと思います。
皆本気で勉強してきています。
また、運営側もものすごく本気です。
IELTSは厳戒態勢の試験であり、シャーペンの使用すら許されていません。(カンニング防止のため徹底的な対策が取られており、鉛筆のみOK、消しゴムはカバー無し、携帯電話・腕時計持ち込み禁止、水はパッケージなどを全てはがして中身が見える入れ物なら持ち込みOK)
受検者は全員パスポートが必携で、受検当日に万が一忘れた場合、テストを受けることはできません。泣いて訴えてもダメです。←実際に見ました。
一人ひとり顔写真と指紋を取られ、本人確認をします。
試験中のトイレの行き来も制限されており、ズルが絶対できないようにしています。
一度入室したら、次に部屋から出る時は試験開始前であろうと、もう一度指紋照合とパスポート確認が必要です。
また、試験時間が終わったあとに鉛筆を置かないと、ものすごく怒られます。
以前日本で受けた際、女の子が「鉛筆置きなさいっっ!!!!!!」と怒鳴られてました。終了時間1秒後くらいだったんですけどね。かなりの人数の試験監に見張られているので、悪あがきはできません。
まとめ
IELTSの魅力を大変さとともにお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。
本物の英語力をつけたいなら、私はTOEICより断然IELTSを勉強することをオススメします。留学などの予定がなかったとしても、IELTSを勉強することは誰にだってできます。
私はIELTSのまわしものでも何でもありませんし、むしろIELTSに苦しめられてきましたが、やっぱりIELTSの勉強をしたことで、英語力が確実に磨かれたのを実感しているので、この感覚を皆さんと共有したいと思いました。
一歩進んだ英語を学びたい方は、ぜひ、IELTSの勉強はじめてみてください。